昭和24年(1949)11月20日、釜師の長野垤志(ながの・てっし。1900～77)が、新潟県の浄土真宗本願寺派・円光寺の住職、徳山啓基に宛てた手紙。 便箋4枚、封筒1点。 内容は、円光寺が長野垤志に注文した鐘のデザインが完成したこと、長野垤志が再婚相手の女性を探していること、などが記されている。 長野垤志は女性に求める条件として、以下のことを挙げている。 ・美人でなくても人に好感の持てる顔である ・長野垤志の五人の子供の面倒を見てくれる ・子供がいない ・忍耐が強い ・思いやりが深い ・長野垤志の勉強に配慮し、内助の力がある ・教養と、芸術に理解がある ちなみに、長野垤志は手紙の中で、自分の年齢を「六十」と言ってるが、実際は数え年で「五十」である。   長野垤志 ながの-てつし 1900−1977 昭和時代の釜(かま)師。 明治33年10月28日生まれ。山本安曇(あずみ),香取秀真(ほつま)に師事。のち名古屋の釜師伊藤一正を知り,茶の湯釜を研究し,古作釜の技法や様式を現代にいかした。昭和38年人間国宝。昭和52年7月14日死去。76歳。愛知県出身。本名は松蔵。著作に「あしやの釜」「天命の釜」,作品に「矢筈(やはず)釜」「松林図肩衝(かたつき)釜」など。 (『日本人名大辞典』)